2011年9月27日火曜日

⑥東北ボランティア2日目:写真復元プロジェクト

やっと、ボランティアの活動らしい活動となった。
台風15号が各地で猛威をふるっているようで、ここ東北には夕方くらいに直撃するらしい。
おかげで、予定していた活動が軒並みキャンセルとなり今日は屋内作業のこの活動のみとのこと。



到着した場所は、石巻市福地体育研修センター。
大川小学校から西へ2kmほどいったところにある。

ここでは、津波で流された被災者の様々な品を、洗浄し取得物として展示している。




テレビなどで、このようなボランティア活動があるのはしっていたが実際に自分が携わることになり、不思議な気持ちになっていた。

中に入り受付を済ませる。
氏名と「誰つながり?」なのかを聞かれ、答えたのみ。
様々なニーズへの対応
今回、いわゆる被災自治体ごとのボランティアセンター・コーディネートのボランティアではなな、各地のNPOやNGOのネットワークでの活動への参加ということで、どのようなつながりなのかを非常に重視しているようである。

私たちが到着したときは、ちょうど休憩時間とのことで、作業再開までの間、なかを見学させていただく。

主な取扱いは、「写真」「バッグ」「卒業証書」「学用品」「ランドセル」などであり、ほかにも「位牌」が並んでいるのには驚いた。
「その方にとって何が大切なのかは、それぞれだから、できるだけ残していこうとしています」とは、ここの責任者のケンさん。

そして、おそらくここに置かれている多くの品は「遺品」であろうとのこと。

■写真洗浄作業

この日、お手伝いさせていただいたのは、津波で流され泥などの汚れがついた写真の洗浄作業。
回収してきたものを、汚れの程度で、クラス分けして、比較的軽度のものについての洗浄作業だ。

洗浄グッズ
ブラシなどを用いて、一枚ごとに時間をかけて丁寧に落としていく、超地味な作業。
まず、写真を一枚取り出し、柔らかな毛先のブラシで全体をこすり、軽度な泥や砂を払いおとす。
何度かこすり続ける内にうわべの汚れは落ちるのだが、乾いてかたまりこびりついたものは、歯ブラシを用いる。
それでもとれないしぶとい汚れは、カッターナイフの刃の背中の部分をあてて、そぎ落としていく。

言葉すると簡単そうだが、実際はインクの部分と同化してしまっていたり、まだ完全に乾ききっていない物であったりと、簡単にはいかない。
少し力を入れすぎると、損傷してしまう。
損傷した部分は、二度と元には戻らない。
地味ではあるが、結構時間がかかり、さらには気を張り詰めて作業しなければならない。

この作業により上がった写真は、PCでスキャンされ、デジタルデータとしても保存している。
その後、写真を個人・団体・赤ちゃん等々の分類に分ける作業にはいり、氏名等の手がかりが分かるものについては、そのような付帯情報も記録して、公開していく。

お疲れ様でした!
私がいたグループは、私と大原浜地区集会所から自分の車で運転しつれて来てくれた浜松市のカツラ頭の松本さんと一ヶ月近く大原浜地区集会所でボランティアに携わっている・・・・名前きくの忘れた。とてもチャーミングな女性で、香川県から来ているとのこと。
私を含めたこの3名は、写真洗浄作業は初めてで、レクチャーしてくださったのは、青森からおこしの初老(?)の男性。
国家公務員だったそうだが、退職され、この9月から火・水・木と三日間、ここで写真洗浄のボランティアに従事しており、いまやベテランさん。

公務員らしく、マイペースに、だけど黙々と着実に一枚一枚を洗浄していく。

日中のボランティアが終わったら、近所の道の駅で温泉につかり、車中泊をしているという。
大変ですねと、話しかけたら、苦笑いしながら「気分転換ですよ」とおっしゃっていた。
何となく、お気持ち、わかりますよ、お父さん!

結婚式の写真から学校行事の写真まで。
みんな、写真をたくさんとっているものだと感心した。
金銭的な財産ではないけど、捨てられずにとっておくものの筆頭だと思う。
それだけ、想い出を大切にする日本人のメンタリティー。
行政の復興支援を議論するときに、経済的に考慮することのない要素だが、家族との想い出を深く繋ぐものだ。

拝見した写真はどれも平凡なものだ。
普段なら、何も感じない、むしろ、うっとうしい位の他人様に写真の数々。
それが、何故かこの場では、すべての写真にストーリーを感じてしまう。
あの惨状を見てきたからなおさら、写真の写っている情景に、平凡だけど幸せな日常の生活を求めてしまう。

一緒に作業していた松本さんがつぶやいた。
「持ち主の人、取りに来て欲しいよなぁ」
同感だ。
ただ、引き取られない理由は様々だと思う。

このような取り組みが知られていない。
辛すぎて、取りに行くことすらできない。
全員が亡くなってしまった。  等々

それでも、時間がたてば、取りに来る人もいるかもしれない。
こないかもしれないけど。
ここの施設もいつまで、使用出来るかはわからないそうだ。

ここからは、マジな思い。
今回の大震災でなくなった方はもちろんだけど、一番つらいのって「忘れられること」だと思う、亡くなった方からすると。
写真の復元で、その橋渡しができると。一助になると。
このボランティアは、絶対に必要な作業だと思う。

台風15号の威力も強まって、風と雨脚が強まったので、3時半には作業終了となった。

しばらく、見学。

先程、「遺品」といったが、私が一番ぐっと来たのは、子ども達のランドセルや鍵盤ハーモニカが並んでいたこと。
名前が書いてあるはずだけど、引き取り手がない。

おそらく、前の投稿の大川小学校の児童のものだとおもわれる。
そう思ったとき、涙が止まらなかった。
(ほんと、何度涙が出たかわからないっす)

お父さん、お母さん。
辛くて取りに来れないんでしょうね・・・。
でも・・・取りに来てあげて下さい。
ご両親の手で、弔ってあげて下さい。

一つでも多くの品が、持ち主やご家族の元に戻りますように。

日本一心


【ボランティアのおもい】に続く

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