コミュニティデザイナーとして、全国各地の都市デザインや地域再生などで数々の実績を残されている山崎亮さん。
地域の方々とワークショップを重ねて、しっかりとニーズを把握し、一緒に物事を進めていく手法はすっかりおなじみです。
有料イベントでも多くの方が聴講に訪れていました |
最初に。
大南さんのお話はこれで3回目です。
1回目は霞ヶ関の日本財団ビルでのおっはークラブ。
2回目は、地域の有志と実際に神山町へ行ったとき。
この時は、夜の食事会に私達の相手もしてくださいました。
感想はとても魅力的な方で、いつも楽しそうで、飾らない方。
それでいて、とてもクレバーで思慮深い。
全国各地の多くの方が惹きつけられてしまうのも納得できます。
今回は、山崎亮さんが神山町の取り組みや魅力、あるいは本質を掘り下げてくださることを期待して参加しました。この対談は、いずれネットで公開されるはずですので、それを見ればいいと思われるかもしれませんが、やはり「トークライブ」ですから、会場にいたいなとw。
「Iターンの人と地元の人はうまくいっているの?」
「地元の人は、大南さん達の活動をどう思っているの?」
等々、いろいろとお聞きしたかったのです。
まずは、大南さんご本人から、徳島県神山町で関わってこられたまちづくりの取り組みをダイジェストでお話いただきました。(以下、要約)
戦前、友好の証としてアメリカから贈られた西洋人形。戦中は、敵国品として日本中の西洋人形が処分されたが、神山町の小学校には残っていた。
「人形に罪なし」。
その人形は、送り主名が記載されたパスポートを持っていた。
(生年月日から、まだ生きているかも)
調べた、ご存命ということで、仲間や子ども達、総勢30名で渡米し送り主の元へ人形を里帰りさせた。
これが、最初の成功体験であるとともに、成功体験を共有した仲間が出来た。
その後、人形を核にしたまちおこしに取り組むが伸び悩む。
そんなおり、徳島県の長期振興計画で県内で文化芸術振興を進めていく、という記事に目を留めた。
「神山町に芸術家村をつくろう」
文化やアートでまちおこしを考えると「有名な作品・アーティストを呼ぼう(=集客したい)」という、思惑が働き、実現するにはお金がかかる。
そんなことはできないので、考えた結論が「アーティストを呼ぶ」。
工場を誘致するのは、住民レベルでは難しい
アーティストは人間。人間を呼ぶことなら自分たちにも出来る。
今、アートでまちおこしが流行っていて、その目的は「観光客」。
神山はアートに関しては素人集団なので、観光客ではなく、アーティストにスポットを当てる。
アーティスト・イン・レジデンスというコンセプトが出来上がる。
この活動を7,8年続け、ビジネス展開を考えて、ウェブサイト「in神山」を作成。
製作総指揮は西山佳哲さん(働き方研究所)で、2008年公開。
ダントツ一番人気のコンテンツは神山で暮らすだった。
神山へのIターンの需要有り!とわかる。
懸念は、Iターン者の生活をどうするのかということ。
田舎の町には、仕事ない、という状況。
これを逆手に取って「手に職があり、仕事ができる人」を誘致した。
つまり仕事ごともってきてもらった。
(パン屋がほしい)(喫茶店がほしい)
地元のニーズにあった職種の人を募集した。
今、注目されているのは「サテライトオフィス」。
建築士が、Iターンを望んだ。
グリーバレーで、空き家改修計画。その手伝いを依頼(ばんどうくん)。その友達の知り合いが、ITベンチャーの社長。シリコンバレーも知っていた。
神山は、インフラもあった。
空き家のRenovation。
即決で、3か月以内に業務開始。
このスピード感はさすがITベンチャーだと思った。
(行政が絡むと、こうはいきません。)
現在は10社。
※※ここで、大南さんからのグリーバレーの歩みは終了。
このあと、山崎流参加者巻き込み術が始まるのです。
山崎さん「それでは、
Q&A
全国が神山町とおなじことをやると、地域間競争になってしまうのでは。Iターンが地域資源を使った新しい事業が立ち上がったという側はあるか。
「頑張った地域が優位になるのは仕方ないのではないか。」
ひとつは、石油会社を脱サラで神山に。砂糖の知識があった。活かして農業やりたい。すだちと梅が有名。青果で出していた梅をおばちゃんたちと、新商品開発。梅ジャム。ジャムのラベルを、移住してきたデザイナーがデザイン。O。人が集まっているちから。
O。映像作家が移住してきた。全国の限界集落の現状をドキュメンタリーにしている。
O。ドローインマニュアルのサテライトオフィスある。そのドキュメンタリーのタイトルバック、を菱川さんが製作。
O。映画の予告製作者も入ってきている。
O。いろんな才能が入って来ている。
仕事以外の面でどんな変化があった人が多いのか。
O。タムソフトの社長から。
S。都会出身者は気に入る。田舎出身者は帰りたい、という傾向。
S。アウトドア大好きの社員。
S。とんがった人が多い中で、楽しそうに生活しているす。
S。人数少ないのに、いろんなことが起こっている印象。
Y。田舎で、打ち合わせすると長い時間、顔を合わせるので、有意義な時間になる。
O。地域の活動、田舎の草刈りなんかに、積極的に参加している。祭りの担ぎ手になってくれたり。マンパワーとしていてくれるだけでも大歓迎。
O。地域の人達が元気になるのが、一番大きい効果。サテライトの人も元気になって、東京に戻る。双方に元気になる。
外から来た人と、地元の人との関係は。注意点も。
神山は、関係は良好ではないか。
入ってくるときに審査している部分がある。田舎では、他人に家を貸したがらない。
関わる人達の信用で貸してくれている。紹介側がしっかりと考えている。
地域の人達は?グリーンバレーも地域の人である。リサーチもしている。どのように考えているかは把握している。
AIRでの地元との交流は?
やりたい人がやれば良い。地域ぐるみでやることがおかしいのではないか。
最初は関係者のみだったのが、徐々に増えてきた。
数でのみ評価したがる。もっと質として評価していくべきではないか。
少数でも、思い入れのある人のほうが良い。
行政的には、数しかみないが、質的なことをみていかないと見誤る。
神山は、現代アートの素地がない。突然現代アートがきて、地域は冷たい目。
冷たい目で見られることの利点は、邪魔をされないこと。
そのときに、自分たちなりに作り上げられる。
5年、つくり続けられたら、変化を感じられる。ただ、地域は感がられない。
10年たつと、地域も変化を感じ始める。外部からの情報によって、気づき始める。
実績になっていく。文化系の補助金は、長くて5年。そのときは、自分たちはも気づけていない時期。
他にないかと、探し始める。カタチになるまえに諦めてしまう。
Y。楽しく続けていく。大事なこと。
Y。自分の事務所もそうだった。六年目で、潮目が変わってきたと思う。
神山町の特徴は、どんなもので、どう関係者を巻き込んでいったか。その工夫は。
工夫している。ものごとは長期的にみるようにしている。
気持ちを変えてほしいときは、プレッシャーを与えるのではなく、ゆっくりとじんわり変えていくようにしている。
例えば、山が荒廃して、日陰の地域が増えてきた。地元は恨み節。グリーンバレーは森づくりもしている。声を聞いて、ふもとの山の手入れを行っていく。
地元では、行政ができないことを、グリーバレーは、やってくれている。
家を、グリーバレーに期待して、託してくれる。
かもいれないし、してくれるかもしれない。判断は尊重する。やってくれたら、つながる。
Y。なにがなにとつながっているのかわからない。
O。自分たちでできることは、徹底的に力を入れていく。無理なことには注力しない。無駄。
O。そうすれば、会社や団体のちからが増していく。ただ、相手を尊重する姿勢は崩さないようにする。
都会から人を呼ぶために雪をどう克服すれば良いのか。
可能性はあると思う。物事にはマイナスとプラスが存在する。
例えば、過疎はマイナス。反対に、人口が少ないことのプラスを考える。
人と人が出会える。
マイナスのプラスを考える必要がある。
雪なら・・・。アメリカでは、雪に閉ざされる環境は勉強に集中できるとか。
答えは、自分たちがだしていかないといけないと思う。
横手市も面白い動きになっているとおもいます。もうちょっと愚直に頑張れば、カタチになるのでは。
Y。北海道沼田町に関わっている。ここは雪が多い。住民は雪をなんとかしたい、よく聞く。
Y。データセンターをつくれないか。1社でも誘致できればイメージがよいのではないか。
Y。雪のマイナスイメージをいかにプラスに変えていけるか。
他の団体との連携はどうしていますか。
あまり連携していない。NPOのミッションはそれぞれ。必ずしも連携する必要はないと考える。行政は、マッチングしたがる。タカチから入るべきではない。
思いが同じグループは、いずれつながるはずである。
Y。情報さえあれば、いつでもつながれる。ネットワークづくり活動はそれだけで、疲れてしまうことが多い。
失敗したことやうまくいかなかったことは?
あると思うけど、失敗を失敗と考えたことはない。
Y。同感です。一般的にはあるということだと思うが、感じたことない。
O。うまくいかなかったことだらけ。その中で、現実の動きの中で、どのように落としこむか。
O。いきあたりばったりにみられる。とにかく、カタチにすることが大切。
1回できたら、カタチを変えて、当初、イメージしていた方向にもっていく。
無償の労力を提供するグリーバレーのメリットは。人と人とのつながり。木こりとのつながり。新しい循環。
困ったことを解決することで、より良い方向に進化させていくことを考えている。
後継者についてどのように考えているのか。
地方には2つの循環。
若い世代の循環。帰ってくるだけでは、維持できない。過疎。新しい人、居住者の循環。
グリーバレーの中心人物は50代。
40〜55歳の子はいない。ここらを居住者にもとめている。中つなぎをしてもらっている。
その子たちと、神山の子たちとの新しいカタチができないかと期待している。
たぶん、次の理事長は、居住者かサテライトオフィスのどなたかがやってくれるのではないか。
バックキャスティングしている将来のゆめは
日本の地方は農林業。建てなおさないと、日本に未来はないと思う。地元の人は、農業に限界の線を引いてしまう。居住者にもそう言っている。よく、サテライトオフィスは企業誘致ですと言われるが違う。人材誘致。都会のオフィスの人たちは、限界集落と無縁の人たち。こういう人は、地方の刷り込みがない。いつか、この人達が、つぷやいてくれると思う。そこにブレークするーがあると思う。最終的に、IT関係者が農業の見方によって解決してくれることに期待しているす。過疎問題はつらい。が、動かないといけない。プラス面とはなにか。例えば、東京にドイツの研究機関がある。将来のドイツの高齢化社会に備えて、取り組んでいる。それは、将来の都市周辺部、ヨーロッパの姿でもある。中山間地域でモデルが作れれば、将来は世界にコンサルティングが輸出できるかもしれない。ワクワクしませんか。
質問:国土交通省・やはり都会の方が便利で合理的ではないか。地方を元気にする価値はどこにあるか。田舎の位置づけとは
例えば、便利という言葉の名のもとに、過疎化が進展してきた。
日本は、便利を多用する。東京は集中しすぎて不便になっている部分がある。
地方を求める人を分散させることで、都会が便利になっていくこともあると思う。
Y。集中しすぎて効率悪くなることはあると思う。
Y。技術論や制度論ではなくて、もっと¡シンプルな話ではないか。
質問:なぜアーティスト・イン・レジデンスをはじめたのか。アートに何を期待したか。
あまり、きたいしていなかった。町の人と外部の人がなにか作り上げたかった。そういう予感があった。楽しそうだった。
ITベンチャーも同じではないか。最初からカタチから入るのは大嫌い。
混沌としたなかから、あまり過度な期待をしないで、偶然にぽっと新しいものが生まれる。
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